戸田漕艇場から左岸堤防を、荒川第一調節池(彩湖)・桜草公園を経て、秋ケ瀬橋を右岸に渡り秋ケ瀬取水堰からゴルフ場群を見ながら上江橋に至る約22kmのコースである。全コース盛土堤防上であるが左岸は工事中の所が多く未舗装で砂利敷き道など歩きにくい部分が多いので、秋ケ橋で右岸に移ることにした。コースのルートを図-1.3に示す。2.5万分の1地形図は赤羽・志木・与野である。
JR埼京線・戸田公園駅から戸田漕艇場(写真-1.7)の脇を抜けて荒川の左岸堤防に上がる。夏になると漕艇場に大量の水草が生い茂りレースに支障が出ているとのことである。
右下に戸田漕艇場を見ながら進むがこのボートコースの長さは約1,800mであり、多くの練習風景が見られる。
1964年東京オリンピックのボート競技会場であり、2020年大会でも候補になったが見送られた。
戸田競艇場の横を通り、荒川からの洪水時逆流防止を目的とする笹目水門を過ぎると、その先の笹目橋手前に早瀬渡船場跡があることの説明板がある。
笹目橋は河川敷側に道路がないので、右側にある早瀬第一地下道をくぐるのがよい。
堤防がふたつに分かれ左側堤防に荒川第一調節池排水門(写真1.8)が見える。ふたつの堤防は左が荒川第一調節池(彩湖)の囲ぎょう堤と右が周囲堤である。本川に調節池が接している場合、遊水池と河道とを仕切る堤防を囲ぎょう堤(イジョウテイとも言う)と言い、遊水池と堤内地を仕切る堤防は周囲堤と呼ばれる。囲ぎょう堤には、何の警告もないが越流部(写真1.9)があって進入してはいけない雰囲気である。したがって推奨ルートは右方向の周囲堤とした。荒川第一調節池は彩湖と命名されており、2020年東京五輪の候補地として脚光を浴びた。調節池機能の保持が第一であり、観客席などの会場設営は困難であったのであろう。この彩湖は全長8.1km、面積1.18km2、総貯水量1,060万㎥ということである。
幸魂(サキタマ)大橋(写真-1.9)は外環道が彩湖をまたぐ橋梁で、中央部が斜張橋である。
以後は道が消滅したり、工事中のため砂利道であったりで、快適な歩きは望めない。堤防増強と称して大きな所では10mほど嵩上げしているようで、既・未盛土が混在していて上り下りを繰り返す。
河川敷の彩湖・道満グリーンパークの中にプロ野球・ヤクルトスワローズ2軍のホームグラウンドであり、すぐ近くには室内練習場もある。球場は有料の267席だけでなく堤防上から観戦できる。
昭和水門の下流にあたる囲ぎょう堤にはさくら草水門があり、二つの大きな水門が連なった形である。
桜草公園内に「田島ケ原サクラソウ自生地」があり、令和元年(2019)秋の台風19号により冠水し封鎖されたが、例年なら4
月中旬に「さくら草まつり」が開催される。サクラソウは江戸時代荒川沿いに広く自生していたが宅地化などでほぼ消滅し、わずかに残ったこの桜草公園4.1haが国の特別天然記念物に指定されている。この自生を助けるために毎年1月末に草焼きが行われる。
秋ケ瀬橋は1,500mほどあり右岸に渡り終えるのに20分かかるが、橋の上から上流に秋ケ瀬取水堰(写真-1.10)が見られる。海水がこの付近まで遡るので潮の干満の影響を受け、東日本大震災の時には津波が到達したとのことである。上下流で2.5mの水位差があり船の通行が不可能なほか、左岸に長さ36m・幅3mの階段式魚道が設けられているが、放流したアユは別の場所で上ろうとするらしい。堰管理用の歩道橋があるが、関係者以外立入禁止である。
秋ケ瀬総合運動場は照明付フルサイズのサッカー場をはじめ、よく整備されている。
羽根倉橋は取り付く道路盤が低く(写真-1.11)、堤防がこの間を削られたようになっている。洪水の時には大きな問題があるのが明らかだが、どのような計画が検討されているのであろうか。
羽根倉橋を越えた所にある大井町運動公園もよく整備されている。
羽根倉橋から終点の上江橋にかけての河川敷にはゴルフ場が密集している。ノーザンカントリークラブ錦ケ原ゴルフ場は対岸河川敷にもコースがあるらしく、専用の渡し船(写真-1.12)がゴルファーを乗せて通っている。数人乗りの小さな動力船である。
JR川越線は小型車一台がやっとの踏切で、歩行者は車の通過を待っていなければならない。
上江橋のたもとに西武バスの停留所がありJR川越線の南古谷駅か指扇駅に行けそうである。南古谷駅まで歩いても約2.8km、歩行約30分である。